これを書いているのは2025年秋。NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」絶賛放映中。舞台となっているここ島根県松江市は、何かにつけて「ばけばけモード」。私も今回は「ばけばけモード」。
「ヘブン」のモデルとなっている「小泉八雲」と「見えにくさ」は切っても切れない関係があります。普段見えない・見えにくい方のサポートをしている私としては、乗っからない理由がありません。いや、単純に放映の勢いにあやかりたいからでしょ?と言われれば・・はい(笑)
※「ばけばけ」のオープニングに出てくる場所を探し、できるだけ忠実に撮った写真を勝手に「ばけ写」と呼び撮影しています。謎解き気分で楽しいです。今回はその中から数枚ご紹介。ぜひ録画した番組を一時停止しながら見比べてみてくださいませ。
小泉八雲は「ロービジョン(見えにくい人)」だった

「ばけばけ」の中のヘブンさん、左目が白く濁っています。実際小泉八雲も、16歳の時にケガで左目を失明しており、実際白く濁っていたそうです(※参照:Wikipedia)。また右目も強度近視だったとのこと。
私は幼少期から松江市に住んでいますが、現在に至るまで小泉八雲の左目が開いた写真を見たことがありません。いずれの写真も、左を向き右目だけが写るようにしているか、目を閉じてるかのどちらかです。当時から「失明した右目を見られたくなかったから」と聞いており、子どもながらに、左目はどんな目なのだろう、人に見せたくないぐらいいやだったのかなと想像していました。
余談:「ヘブン」を演じるのはトミー・バストウさん。左目のコンタクトは当然監督の指示だと思っていました。しかし実際にはバストウさん自らの意志。しかも「小泉八雲がそうだったから」ではなく、ヘブン=小泉八雲を演じる役者としてのこだわりから。理由の奥深さ、役者さんのすごさを感じました・・
詳細は、公式本である「ばけばけ Part1」に書かれています。→NHK出版「ばけばけ Part1」

小泉八雲の執筆を支えた「高い机・低い椅子」
私が初めて「小泉八雲記念館」や「小泉八雲旧居」を見学したのは、多分小学校の時。社会科見学だったかな。
中でも印象的だったのは、背の高い机と、やけに低い椅子。強い近視だった小泉八雲が、目を近づけて読み書きするためです。子どもながらにとても納得いきました。写真ではなく現物を見たことで、イメージしやすかったんでしょうね。小泉八雲が特注したのだそうです。
以前、とある講師さんをお招きし、小泉八雲記念館へご案内した際には、「これは日本で最初のロービジョンケアでは」とお話しされていました。「ロービジョンケア」とは「見えにくさのケア」のこと。現在のように技術が発達していない時代です。原始的ですが当時できる精一杯の「ロービジョンケア」が、世に残る著作の執筆を支えたと考えると、なんだか胸が熱くなる私。
ロービジョンケアを使ってでも執筆し続けた小泉八雲の熱意の原動力や、それを支えたものは何だったのでしょうね。ぜひ知りたいです。

小泉八雲が現代の「ロービジョンケア」を使っていたら?
小泉八雲が机と椅子を特注してから135年ぐらい経ちました(2025年現在)。ロービジョンケアの技術は、もちろん進みました。
中でも役に立ちそうなのは「拡大読書機」と言われる機器↓
一般的にはあまり知られてないですよね。でも最近、公共図書館で置かれることが増えました。身近なところでは、島根県立図書館の2階中央カウンター前とか、松江市立中央図書館のちょっと奥のところとか。視覚障害までじゃなくても、高齢で見えにくくなった方にも便利ですよ。
- 島根県立図書館「館内の設備・備品について」
- 松江市立中央図書館「バリアフリーコーナーの紹介!」←画像付きで分かりやすいです
こうした「ロービジョンケア」を当時小泉八雲が活用していたら、著作や人生に何かしらの影響があったのでは・・と思っています。

というわけで
小泉八雲と「見えにくさ」「ロービジョンケア(見えにくさのケア)」が、切っても切れなかったことを、簡単にですがご紹介してみました。また、トキのモデルとなった「小泉セツ」が、どのように小泉八雲をサポートしたのかも知りたいところです。
今後「ばけばけ」の中で、ヘブンの「見えにくさ」がどう描かれていくか、引き続き注目していきます。
ちなみに、2026年2月1日に松江市総合福祉センターで、今回書いたテーマの掘り下げる研修会を開催予定です。2025年12月に入ったぐらいに、こちらでもご案内します。よろしければぜひ→島根ビジョンネットワーク
研修会での勉強後、今回の記事のバージョンアップ版を書けたらなと思ってます(だから今回は「前編」なのです)。
そして・・松江に来てぜひ「ばけ写」に挑戦してみてください!


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