
普段から保護者さんの書くブログをよく見ている私なのですが、先日《遠隔教育》について、とあるお母さんが書いておられる記事を読む機会がありました。
「私ももっと早くに知りたかった!」「皆さんにも知ってほしい!」と思ったので、今回のばはらっとでは、そのブログでもご紹介されていた、文部科学省が出している資料『遠隔教育について』について書きたいと思います。
《遠隔教育について》にあわせて《遠隔教育システムガイドブック》の元版へのリンクを貼っておきますので、ぜひ直接ご覧くださいね。
文科省から出されているPDF資料はこちら
『遠隔教育について』
『遠隔教育システムガイドブック』
遠隔教育とは
そもそも遠隔教育とは、インターネットなどのICT技術(情報通信技術)を活用し、学校とは別の場所にいる先生や仲間とつながりながら授業や学習を行うことです。
例えば、大学の専門家とつながる授業、海外の学校との交流、小規模校同士での合同授業など、教室の外の多様な学びを実現させることができます。
児童生徒の教育機会を公平に確保し、教育の質を大きく高めるための大切な手段の一つと言われています。
そして病気療養や不登校により学校に登校できない児童生徒の学習の遅れを防ぎ、社会や学校とのつながりを維持するための大切な手段でもあります。
今回のブログでは、どのような手順で不登校の児童生徒が遠隔授業を活用できるようになるのか、『遠隔教育について』に書かれている内容をかいつまんでご紹介したいと思います。

不登校の子どもたちと遠隔教育
不登校の児童生徒が、自宅でICT(パソコンやタブレットなど)を使った計画的な学習活動を行う場合、校長の判断により「出席扱い」とされ、その学習成果が評価に反映される可能性が開かれています。
ここでは小中学校において、どのような手順で遠隔教育を受けることができるようになるのかまとめてみますね。(高等学校については、「病気療養の場合」についてが書かれています)
【ステップ1】 まずは学校へ相談し、「協力体制」を築く
・自宅でのICT学習を希望する場合、まずは在籍校に相談します。
・学校と密に連絡を取り合い、子どもの状況を共有する体制を整えます。
【ステップ2】 先生と一緒に「計画」と「対面指導」をセットする
・学校と協力し、子どもの状況に合わせた具体的な学習方法を決めます。
• ICT等を利用して提供される計画的な学習プログラムが必要です。
• 教師が訪問などによる対面の指導を適切に行い、子どもの状況を直接把握することが求められています。
【ステップ3】 校長先生が判断し、「出席扱い」に認定
・上記のステップで学習や指導が進んだら、最終的に学校(校長先生)が判断します。
・認められた学習活動の成果は、学校の教育課程に照らして適切であれば、評価(成績)に反映されます。
素朴な疑問あれこれ
前例がないのでウチの学校では…と断られそう
正直、これが一番心配ですよね。
とは言え、自宅でICT等を活用した学習活動を「出席扱い」とした件数は、全国で非常に増えているのだそうです。
実際、この出席扱いを認められた不登校児童生徒の数は、2019年度には286人でしたが、2022年度には11,541人と、大幅に増加していると『遠隔教育について』には書かれています。

本音を言えば、「全国的に」とか「前例が」とか、そんなことは関係なく「この子にとってどういう形なら可能なのか?」を一緒に考えてもらえる関係性になりたいと、みんな思っていると思います…
遠隔教育に限らずですが…自分がしっかりと情報をもっていることは、自分自身も土俵に上がって具体的に相談を進めるためにとても役立ちます。
遠隔教育についてよくわからない、という大人たち(自分も含め、先生や保護者)もまだまだたくさんなのが現実です。
周知徹底されていくことを期待すると同時に、まず自分が知っていくことが大切だなと思いました。
オンラインで授業を見られたらいいのに…
学校内の別室で、オンライン配信を使って授業を受ける仕組みは、学校への復帰を段階的に進めるための重要な取り組みとしてすでに行われている地域もあるとのこと。
学校内の別室での学習が困難な場合は、通信環境の確認を行った上で、自宅へのオンライン配信をするなど、柔軟な対応も検討されるようです。
地域ごと、学校ごとで状況が違うということは重々承知していますが…
それにしても、同じ地域であっても学校ごとにこんなにも対応が違うのか…
これが一番の素朴な疑問です…
具体的な教材って、何を使えばいいの?
不登校生徒の学習活動の評価を検討する際、「民間業者が提供する教材やインターネット上の学習システム」を活用し、その学習履歴や学習時間、確認テストの結果などに基づいて評価を行うことも考えられる、とされています。
つまり、必ずしも学校の教科書や先生が作った教材にこだわる必要はなく、学習の目的や内容に照らして適切であれば、市販の、あるいは自治体が契約したオンライン教材を柔軟に利用でるのだそうです。
ちなみに私が住んでいる松江市は、このようなものがありました。
オンライン学習支援『ボタンねっと』
では、個人が契約している市販のオンライン教材を使うことになった場合、その費用はどうなるの?なんて疑問も生まれます。
活用する人が増えることによって、経済的な負担なく、選択肢が増えていくことになればいいのになあ!と思います。
おわりに
ほんの一部分ですが、『遠隔教育について』の内容をご紹介しました。
制度は用意されていても、満たすべき要件があったり、学校との協力が必要不可欠と書かれていたり…ちょっとハードルが高く感じられるかもしれません。
全国一律に、同じ形で遠隔教育が行われるということはなく、学校ごとに異なるのが実際です。
内容を知っておくことで、いざ「遠隔教育を!」となったときに、具体的に学校と相談できることにつながるのではないでしょうか。
そして本当は…遠隔教育はもちろんのこと、何より子どもが「学びたい!」「知りたい!」と思った時に、学校、フリースクール、ホームスクーリングなどなど、自分で選んで決められる選択肢(しかも経済的な心配が少ない選択肢)が増えていく世の中になっていくといいなあと、心の底から思います。


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