
ゆうこです。少し前になりますが、「令和7年子ども健康フォーラム島根」に参加してきました。
今年のテーマはアタッチメント。遠藤利彦先生(東京大学大学院研究科 教育心理学講座 教授)が基調講演をされると知って、大喜びで申し込みました。
数ある「アタッチメント(愛着)」の文献の中で、遠藤先生の著書が好きで数冊もっています。先生の著書からは先生のお人柄が滲み出てくるような印象があります。勝手にきっと遠藤先生は穏やかで優しくって物静かな方なんだろうと思っていましたが、まさにその通り。とても丁寧でわかりやすい講演に、納得!と何度も何度もうなずきながら聴いていました(*´艸`*)
研修に参加して、あらためて確認したこともあったし、知らないこともありました。お伝えできることには限りがありますが、今回は報告もかねて研修で学んだことをまとめてみようと思います。
そもそもアタッチメント(愛着)とは何!?
そもそも「アタッチメント」という言葉はイギリスの小児科John Bowlby(1907-1990)が提唱した心理学の考え方です。
日本語では「愛着」と訳されますが、これは「愛情の深さ」とは少し違います。
「アタッチメント」の「Attach(アタッチ)」とは、”くっつく・結びつく”という意味で、文字通り「心の強い結びつき」や「絆」そのものを指します。
実は愛情とアタッチメントは別のベクトルのものなのです。
こども家庭庁「はじめの100ヶ月の育ちのビジョン」
みなさん、こども家庭庁「はじめの100ヶ月の育ちのビジョン」をご存知ですか?
幼児期までの全ての子どもたちが等しく健やかに育つための大切にしたい考えを国として策定したビジョンです。遠藤先生もこのビジョンの策定に遠からず係っていたとのことでした。
掲げられた5つあるビジョンの中の2番目に挙げられているのが「アタッチメント(愛着)」です。
生まれてから100ヶ月、およそ小学校1年生くらいまでの時期に、【「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める】と書いてあります。
「安心と挑戦の循環」とは?「ウェルビーイング」とは?、いったいどういうことでしょうか?

こども家庭庁:幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン やさしい版より抜粋
「ウェルビーイング」は将来にわたる持続的な幸福
まずは「ウェルビーイング」についてご説明します。
こども家庭庁では2023年に以下のようにこどものウェルビーイングについて説明しています。
身体的・精神的・社会的に良い状態にあるという包括的な幸福として、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含むものをいう。
「こころ」と「からだ」と「人との繋がり」が安定している幸せな状態が今だけでなく将来にわたって持続的なものとなるという感じでしょうか。
つまり、こども家庭庁は、この安定した幸せな状態を高めていくために、「安心と挑戦の循環」が不可欠だといっています。
「安心と挑戦の循環」は自らを成長していくプロセス
では「安心と挑戦の循環」とはどう意味でしょうか。

こども家庭庁:幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン やさしい版より抜粋
私たち大人も、辛い時に「大丈夫だよ」と言ってくれる人や、顔を見るだけで「ほっとする〜」という存在がいると、また頑張ろうと元気がでますよね。
実はこの原体験が乳幼児期の「アタッチメント(愛着)」なのです。
「安心と挑戦の循環」とは、このアタッチメントを通じて、こどもが自ら成長していくプロセスを指します。
アタッチメント(愛着)における大人の役割は 「安全な避難所」と「安心の基地」
アタッチメント(愛着)における大人の役割は主に2つあります。
- こどもが不安や怖さを感じた時に逃げ込める「安全な避難所」
- 崩れた感情に寄り添い、くっつきながら、こどもの”大丈夫”を回復していく「安心の基地」
「安心」が確保されると、こどもは必ず次の「挑戦」へと向かいます。
- 【不安】 こどもが挑戦中に不安や困難を感じる。
- 【安心】 大人の「安全な避難所/安心の基地」に戻り、不安を解消し、安心感を回復する。
- 【挑戦】 ”大丈夫”が回復すると、再び基地から離れ、自発的に新しいことへチャレンジする。
この循環を繰り返すことで、こどもは経験の輪を広げ、成長と共に「安心の基地」に戻らなくても大丈夫な、心の強い子になっていくのです。
だから、大切なのは「安全な避難所」や「安心の基地」になる身近な大人の存在です。
アタッチメントを育む「身近な大人」は、必ずしも親に限定されません。おじいさん、おばあさん、叔父、叔母、あるいは幼稚園・保育園の先生など、こどもにとって一番近くにいて、安定した関係を築ける大人であることが大切なポイントです。
人生を支える心の土台「アタッチメント(愛着)」
安定したアタッチメントはいろいろな力を育み、こどもの生涯を支える心の土台となります。
その代表的ものが
- 他者を気持ちを理解し、思いやる力
- ひとりでがんばれる力
- 人っていいなと、人や自分を信頼できる力 遠藤利彦著 「赤ちゃんの発達とアタッチメント」ひとなる書房 より抜粋
いい換えると、多くの保護者や保育者が「こんな子に育ってほしい」と願う「思いやりの心」「自律した心」「自己肯定感」「基本的信頼感」といえます。その土台が乳幼児期のアタッチメント(愛着)にあるのです。
もうお分かりでしょう。これらの力はこどもが自然と身につけるものではありません。
大人が「安全な避難所/安心の基地」としての役割を果たす中で、こどもが「安心と挑戦の循環」を通してウェルビーイングを高めていく先に身につけていく力なんですね。
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