本の紹介: 紙で遊ぶ本

—なんで読み聞かせをするの?

楽しいもの!

個人的には、この答え一択です。

本を一緒に楽しんだ記憶は、子どもにとっても大人にとっても宝物になるでしょ?
と、読み聞かせをきらきした光に溢れたもののように語ってみます。


が、子どもはひとりひとり個性的ですし、気分屋さんでもあります。


本を掲げて「さあ!」と意気込んでも、全然のってきてくれなかったり、途中で飽きられたりなんてことは、当たり前のように繰り返されます。


幼い子を前にして、本を好きになってもらうにはどうしたらいいのかしら、と首をひねってしまうことだってありますよね?



昔のことですが、保育所に子どもを迎えにいったとき、保育士さんが果物の絵本を膝の上にのせた幼い子に読んでるのを見かけました。


平山和子『くだもの』(福音館書店 1981年刊 2歳〜)
くだもの|福音館書店くだもの。子どもたちに長く読み継がれる絵本・童話・科学書を作り続けている福音館書店の公式サイト。www.fukuinkan.co.jp

40年以上前の本ですが、今でも乳幼児向けのおすすめ本として定番中の定番なので、多くの方がご存じでしょう。


すいか、もも、ぶどう…と、ページをめくるたびに、次々とおいしそうな果物が「さあどうぞ」と差し出されます。


その本を読みながら、保育士さんが描かれた果物に指先で触れてから自分の口元に持っていき食べるまねをすると、すぐに、子どもも手を伸ばしてパクッと食べました。

夢中になってごっこ遊びに興じる笑顔を見て、こういう体験が子どもを本好きにしていくのだろうと思ったものでした。

—本で遊ぶことが読書へ誘う入り口になることもある
という視点から見回すと、次々とおもしろそうな本が見つかると思います。


そんな中から1冊、紙で遊ぶ本はいかがでしょうか?

たにうちつねお『しろいかみのサーカス』(福音館書店 2009年刊 4歳〜)
しろいかみのサーカス|福音館書店しろいかみのサーカス。子どもたちに長く読み継がれる絵本・童話・科学書を作り続けている福音館書店の公式サイト。www.fukuinkan.co.jp

折ったり、切ったり、丸めたり、破ったり…。

白い紙が子どもの手によって姿を変えていく様を写真で追います。

やさしい言葉の短い文が大きな字でほんの少し添えられています。

最初は、6枚の白い紙を半分に折って立たせ、積み木のように重ねて家を作ります。

あ、できそうって思いません?

蛇腹に折った紙を押さえた手を離して跳ねさせたりとか。

これ、やってみたくなるやつですよね。

紙の性質をいかした変わり身の数々はまさにサーカス、子どもは素直に感心します。
大人が読みながらやってみせるのもいいでしょう。(ドヤ顔できるかも…)

何より子どもが「やりたい」と言いだしたら、しめたものです。本の中には楽しいことが詰まっているとインプットされたのですから。


谷内さんは紙で遊ぶ本をたくさん作っていらっしゃいます。もう少し紹介させてくださいな。


『かみなのに』(大日本図書 2019年刊 2歳〜)
かみなのに|大日本図書の本大日本図書が発行する書籍をご紹介します。www.dainippon-tosho.co.jp

かみなのに、はねる、のびる、こわい…など。

え?と思うけれど、ひとつひとつ貼り絵の虫や動物が実際にやってくれます。

折り込みページを開いて横に広がった検証現場(?)の大画面は、迫力満点です。


次の2冊は、月刊誌のバックナンバーなので、図書館か古本で。


『しろいかみ』(こどものとも0.1.2.2018年2月号 福音館書店 0歳〜)
しろいかみ|福音館書店しろいかみ。子どもたちに長く読み継がれる絵本・童話・科学書を作り続けている福音館書店の公式サイト。www.fukuinkan.co.jp

白い紙が、オノマトペにあわせて形を変えていきます。

くる、くるくる、ぎこ、ぎこぎこ、ぐじゅ…。

よっ、千両役者!と紙に言いたくなります。


『げんきなかみ』(ちいさなかがくのとも2012年5月号 福音館書店 3歳〜)
げんきな かみ|福音館書店げんきな かみ。子どもたちに長く読み継がれる絵本・童話・科学書を作り続けている福音館書店の公式サイト。www.fukuinkan.co.jp

子どもの手が白い紙の形を変えて、紙にいろいろな動きを与えます。

ぴゅーんと飛んでいったり、しゅるるっとまわったり、ころんころんところがったり…。



他にも、もう少し対象年齢高めの本もあり、工作の要素が大きくなって大人が一人で遊んでも十分に楽しかったりします。
「この本おもしろいね!」と、子どもと一緒に紙で遊んでみてはいかがでしょうか♪


最後に、これらはすべて紙の性質を学ぶ科学絵本です、とひと言付け加えておきますね。

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